遠心圧縮機ディフューザ内部で発生する不安定現象の解明

遠心圧縮機内部の動翼・静翼
ターボ機械は、日本の産業基盤の中で自動車や航空機をはじめとする輸送機器から、
ガスおよびオイル輸送をはじめとする社会インフラまで広く利用されており、
現代社会においてなくてはならない存在になっています。
船舶用過給機の構成要素のひとつである遠心圧縮機は
エネルギ有効利用の観点から高効率化および高圧力比化が要求されています。
しかし過給機用遠心圧縮機の設置により作動範囲に制限が生じてしまうだけではなく
騒音が増大し、また低流量運転時には旋回失速をはじめとする非定常現象が発生し、
機器の振動および破損の原因となります。

過給機用遠心圧縮機全体図
そこで私たちターボ班は旋回失速などの非定常現象の究明を目的とし、
過給機用遠心圧縮機を対象に実験的調査及び数値解析を行っています。
これまでの研究では、圧縮機の性能を維持しつつ発生騒音レベルを減少させるため
ディフューザ案内羽根の前縁形状を変化させ、
Hub側テーパ型案内羽根を開発することで渦の発生を抑制し、
流れ場の安定化に成功しています。
また、数値流体解析(CFD)により、遠心圧縮機内部流れ場を調査し、
案内羽根前縁付近に生じる渦が性能劣化・騒音増大に寄与することを明らかにしました。
また、その渦の拡大が旋回失速などの不安定現象へと発達する可能性を示唆しました。


(左から)案内羽根前縁付近に発生する渦、
複数翼間に伝播する渦構造
非定常現象のさらに詳細な究明を目指します。